余白の時間 

余白の時間 

2018/02/14もうひとつの風景

「まなざしのデザイン」の出版から3ヶ月、いま改めて全国キャラバンの3週間を思い巡らせてみた。

 

出版日の2日前となる11月11日(土)、「まなざしのデザイン」のプロモーション活動は始まっていた。ハナムラは成田空港に到着するや否や、出版物の取材を受けていた。そこから12月3日(日)までの3週間、北は北海道、南は福岡まで全国12都市を駆け抜けた。

 

こちらが移動行程。

東京→新潟→大阪→福岡→広島→岡山→札幌→(金沢)→松本→京都→神戸→大阪→名古屋→東京

 

非効率だな、と思われる方もいらっしゃるだろう。それもそのはず。このスケジュールは、ハナムラのマネージャー業以外に、フルタイムの本業をもつ私の都合によるものだからだ。帰国前から少し体調不良だったハナムラに、ほぼ休みのないスケジュールを強いてしまい、無理をさせたことは否めない。

 

それにも関わらず、講演の予定のない金沢に足を運んでいる。しかも札幌から関空に戻り、その足で金沢に直行するという強行スケジュールだ。ハナムラは直前まで金沢での講演をアレンジしたがっていたのだが、講演があろうとなかろうと、ここに行くことは決めていた。

 

金沢に行く理由は2つあった。ひとつは、この日の2日後に京都大学での講義をアレンジしてくださった塩瀬先生がファシリテーターをされている「工芸と観光」というシンポジウムへ参加すること。もうひとつは金沢21世紀美術館に行くこと。いずれも、まなざしのデザインのプロモーションと直接的に関係するものではないが、直感的に導かれている感じがしていた。

 

芸術全般にあまり関心を示さなかった私が美術館に行きたいというだけでも動機は十分なのだが。それは2016年の春、観光調査事業の一環で、スペインのビルバオにあるグッゲンハイム美術を訪れたときに遡る。ここは、ハナムラが以前から訪れたいと思っていた美術館だ。アートにあまり関心を示さない私ともう一人の同行者に気を遣ったのか、ハナムラは作品の解説をすると言い始めた。もしかするとひとつひとつの作品の感想を聞かれて、ゼミのようになるのではないか…と私は一瞬恐れさえ感じた。しかし、ハナムラの解説は明瞭簡潔で、美術館の後半になる頃には、私はアートのおもしろさを感じ始めていた。作品を見方に補助線を引いてもらうことで、まなざしはいとも簡単に変わることを実感した。

 

話は少しそれてしまったが、そんな背景もあり、金沢がリストアップされていたのだ。

 

札幌から関空に戻り、金沢行きの列車を待っていたとき、私はふと「なぜ人は変化することを拒むのだろう」とハナムラに問いかけた。そこから、この旅はシンポジウムと美術館に行くこととは別の意味を持ち始めた。ハナムラは、断片的な思考のパズルのピースが一気につながったかのように、ものすごい勢いで語り始めた。その内容は壮大で、一見非現実的かに思える内容ではあったが、このとき既に2週間の旅を終えた我々が共通して実感したことから生まれてきたものでもあった。

 

そして、ハナムラはひとしきり話し終えると、「少し休みます」とさっさと毛布をかぶって眠ってしまった。

そのときの話の内容は、ハナムラのこれからの10年の活動にも関連する壮大なものだ。そのうちどこかでお話しする機会があるかもしれないが、ハナムラのこれからの活動を通して感じていただけるだろう。

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